【2026年9月施行】生活道路の法定速度が 30km/h に引き下げ!白ナンバー企業が今から準備すべき安全対策とは 

トップ法令・お役立ちコラム【2026年9月施行】生活道路の法定速度が 30km/h に引き下げ!白ナンバー企業が今から準備すべき安全対策とは 

2026年8月28日公開

1:生活道路の法定速度が 60km/h から 30km/h へ引き下げ

2026年9月1日より道路交通法が改正され、
中央線のない「生活道路」の法定速度が60km/h から 30km/h へと大幅に引き下げられます。


「自社には関係ない」と思いがちですが、
営業回りの抜け道や通勤経路を通る白ナンバー車も無関係ではありません。

本記事では、改正の背景と企業が講じるべき安全対策を解説します。


2:なぜ今、法改正が行われるのか?

内閣府が公表した見直しの背景には、主に以下のような現状と課題があります。

  • 歩行者と車が混在する危険性
    歩道がない狭い道路(生活道路)では、歩行者との接触や
    車同士のすれ違い事故のリスクが高く、スピードが出やすい環境自体が非常に危険であること。

  • これまでの対策の限界
    これまでも標識の設置や「ゾーン30」などの地域指定で個別に対策してきたが、
    全国すべての狭い道路に一つひとつ標識を立てて30km/h 制限にしていくのは限界があること。


これらを解決するため、
「標道路標識等による最高速度の指定がなく、中央線・車両通行帯・中央帯などが
設けられていない一般道路では、法定速度が 30km/h となる(※)」
という
抜本的なルール変更が行われることになりました。

( ※参照:内閣府「生活道路における法定速度の見直しについて」 方針 より )


3:何がどう変わる?対象道路とルールの整理

では、具体的にどのような道路が30km/hの対象になるのでしょうか。

今回の改正で法定速度が30km/hとなるのは、主に地域住民の日常生活に利用されるような、
中央線や車両通行帯などが設けられていない一般道路です。

30km/hの法定速度が適用される生活道路のイメージ

ただし、今回の改正ですべての一般道路が 30km/hになるわけではありません。

中央線や車両通行帯が設けられている一般道路や、道路の構造などによって往復方向の通行が
分離されている道路などは、引き続き法定速度 60km/hが維持されます。

往復方向が分離されている道路の例



また、道路標識などによって最高速度が指定されている場合は、改正後もその指定速度が適用されます。

写真のように最高速度20km/hの規制標識が設置されている道路では、改正後も20km/hが最高速度となります。


4. なぜ「30km/h」なのか?
データから見る生活道路の危険性

①生活道路では歩行者・自転車が事故の被害者になりやすい

生活道路は幹線道路と比べて幅員が狭く、歩道と車道の区別が明確でない道路もあります。
そのため、自動車と歩行者・自転車が近い距離で通行する場面が多くなります。 

国土交通省が公表しているデータを見ると、
幅員5.5m以上の道路では、死傷者に占める「自転車乗用中」と「歩行中」の割合が合わせて24.9%であるのに対し、
幅員5.5m未満の道路では46.9%に上ります。

出典:国土交通省_「生活道路における交通安全対策」_実務者向けシリーズセミナー 
第1回基礎編 『生活道路における安全確保』 3ページ

つまり、歩行者・自転車乗用中の死傷者が占める割合は、幅員5.5m未満の道路のほうが約1.9倍高くなっています。 

このデータからも、道路幅の狭い生活道路では、
歩行者や自転車利用者の安全を確保することが重要だといえます。

②事故を「防ぐ」だけでなく、
事故が起きたときの被害を小さくする必要がある

生活道路では、自動車だけでなく歩行者や自転車も同じ道路を利用するため、
事故を完全になくすことが難しい場面もあります。

そのため、事故を防ぐ対策に加えて、
万が一事故が発生した場合に、被害をできるだけ小さくすることも重要になります。

そこで重要になるのが、自動車の「速度」です。

国土交通省の資料では、自動車と歩行者が衝突した際の速度と歩行者の致死率との関係が示されています。
衝突時の自動車の速度が30km/hを超えると、歩行者の致死率が大きく上昇することが確認されています。

出典:国土交通省_「生活道路における交通安全対策」_実務者向けシリーズセミナー 
第1回基礎編 『生活道路における安全確保』 9ページ


つまり、生活道路では自動車の速度を抑えることで、事故そのものを防ぐだけでなく、
万が一事故が起きた際の被害を軽減することも期待できます。

こうした考え方も、今回の法定速度を30km/hとする見直しの背景の一つとなっています。

③ これまでの「個別に30km/h規制」だけでは限界があった

これまでにも国土交通省や警察庁は、「ゾーン30」や「ゾーン30プラス」など、生活道路の速度を30km/hに規制する取り組みを進めてきました。こうした取り組みは、今回の法改正後も引き続き実施されます。

一方で、全国に数多く存在する狭い道路について、道路ごとに個別の速度規制を設定し、標識を設置する方法だけで、30km/hの速度規制をさらに広げていくことには課題があります。

内閣府も、こうした狭い道路について
「30km/hの最高速度規制を全国的にこれ以上増加させることは「現実的ではない」としています。(※)

そこで今回の法改正では、これまでのように道路ごとに個別の速度規制を設定する方法に加え、
一定の構造要件を満たす一般道路については、速度規制標識がなくても法定速度を30km/hとする仕組み
へと見直されました。


( ※参照:内閣府「生活道路における法定速度の見直しについて」 より )


「ゾーン30」と「ゾーン30プラス」とは?

ゾーン30
生活道路における歩行者などの安全な通行を確保することを目的として、一定の区域を
「ゾーン」として区域内の最高速度を30km/hに規制し、速度の抑制や抜け道として通行する
車両の抑制などを図る取り組み。

ゾーン30プラス
ゾーン30に加えて、ハンプや狭さくなどの物理的な対策を組み合わせ、道路管理者と警察が密に連携し生活道路における安全確保を図る取り組み。

これまでは、こうした区域指定や速度規制によって生活道路の速度を抑えてきました。
今回の改正では、こうした取り組みに加えて、
一定の条件を満たす道路については、個別の速度規制標識がなくても法定速度30km/hとすることで、
生活道路全体の安全対策をさらに進めます。


5:企業が今すぐ取り組むべき3つのこと

今回の法改正は、単に運転者へ「速度を落とすように」と伝えるだけでなく、
企業側も安全に運転できる環境を整えることが重要です。

走行ルートや運行スケジュール、社内ルールなどを見直し、
今回の改正に合わせて自社の安全運転管理をアップデートしましょう。

① 走行ルートを再確認する

営業、配送、送迎車などは幹線道路だけではなく、訪問先や取引先へのアクセスのために住宅街の道路を通ることがあります。

・営業・配送などで使用する主要ルート
・取引先や訪問先周辺の道路
・駐車場への出入りに利用する道路
などを確認し、改正後に30km/hの法定速度が適用される道路を把握しておくことが重要です。

②余裕を持ったスケジュールを設定する


訪問先への到着時間が厳しく設定されていると、運転者が「少しでも早く到着しなければ」と焦り、
速度超過や無理な運転につながる可能性があります。
移動時間を見直し、無理のない訪問・配送スケジュールになっているか確認しましょう。

③ 社内ルールを周知し、安全意識をアップデートする

今回の改正内容を運転者だけでなく、運行管理や車両管理に関わる担当者にも周知しましょう。
法定速度を守ることはもちろん、生活道路では歩行者や自転車の動きに注意し、状況に応じて速度を抑えるなど、
安全を優先した運転を社内全体で共有することが重要です。


6:まとめ

今回の改正によって、生活道路の法定速度は30km/hに引き下げられます。
しかし、30km/hなら安全というわけではありません。
30km/hはあくまで法定速度であり、安全が保証される速度ではないことを理解しておくことが大切です。

法定速度を守ることはもちろん、生活道路では周囲の状況に応じて十分に速度を落とし、
歩行者や自転車の安全を優先する「思いやりのある運転」を心がけましょう。


「30km/hまで出せる」のではなく、「安全のために必要な速度で走る」。
そんな意識を、企業・ドライバー双方で持つことが大切です。

そして、安全な運転を実現するためには、運転者一人ひとりの意識だけでなく、企業側の環境づくりも欠かせません。
走行ルートや速度管理だけでなく、日々の点呼やアルコールチェックなども含めた安全運転管理を、
この機会に改めて見直してみてはいかがでしょうか。


7:出典一覧

・内閣府『トピックス 生活道路の法定速度の見直しについて』
https://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/r07kou_haku/zenbun/genkyo/topics/topic_1.html
(2026年8月28日確認)

・国土交通省「『生活道路における交通安全対策』実務者向けシリーズセミナー」

掲載ページ
https://www.mlit.go.jp/road/road/traffic/sesaku/koho-zone30-seminar2025.html
資料(PDF)
https://www.mlit.go.jp/road/road/traffic/sesaku/pdf/zone30_se2025_01.pdf
(2026年8月28日確認)

・警察庁 生活道路における自動車の法定速度が引き下げられます!!
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/seikatsudouro/seikatsudoro.html
(2026年8月28日確認)